新しいバイクが納車されると、嬉しくて仕方ないですよね。
待ちに待ったバイクです。新しい思い出をいっぱい作っていこう。
でも、

慣らし運転って、したほうが良いの?
しないとどうなるの?
そんな疑問を解消します。
慣らし運転は、理論的にはした方がベター
でも、慣らし運転をしたからといって、恩恵を受けることはありません
レースでコンマ何秒を削るとか、何十万Km以上乗り続けるなら別だけど
ツーリング用途なら、慣らし運転に無駄な時間を費やすのは勿体ない
こんな内容を知ってスッキリしよう。
- 初期慣らし
- 始動時慣らし
ともに昔は必須とされてました。
しかし、最近のバイクは精度良くできている。
納車直後に全開で高速道路を走り続けるようなことをしなければ、そこまで気にする必要はありません。
今ではバイクの慣らし運転は、ライダー側の慣らしの意味の方が強い。
バイクの挙動に慣れるまでは、無茶な乗り方をしないようにね。
慣らし運転をする意味【パワーが出て、寿命が長くなる?】

- パワーの出かた
- 半クラの位置
- ブレーキの利き具合
ライダーには前のバイクのクセが残っているので、新しいバイクの挙動に馴染むまでは限界走行しない方が良いのは当たり前。
だからここでは、ライダーの慣らしのことは、ひとまず置いておこう。
新車バイク側の慣らし運転の必要性について、よく言われる観点は2つです。
- 金属摺動面をすり合わせてあたりを付ける
- 初期不良への備え
1.金属摺動面をすり合わせてあたりを付ける

パワーアップ:摺動面にあたりを付けることで、抵抗が少なくなりパワーが出る
寿命アップ:摺動面にあたりを付けることで、かじりが起きにくくなる
- エンジンのシリンダーとピストン
- ベアリング内の鉄球
バイクには、鉄同士が擦れ合う部分が多くあります。
金属同士が滑らかに接していると、無駄な摩擦が発生せずエンジンパワーのロスが少なくなり無駄なくタイヤにパワーを伝えられる。
つまり、エンジンのパワーが出てる状態になります。
また、無駄な摩擦熱が発生すると金属同士が溶着してスムーズに動かなくなる『かじり』を起こしがちです。
シリンダー内壁に傷を作ったり、ベアリングが壊れてバイクの寿命を縮めます。
つまり、金属同士が滑らかに接していると摩擦が少なくなりパワーも出るし、寿命も長くなる。
出来立てのエンジンやベアリングは、金属同士が馴染んでないので滑らかに接しているとは言い難い状態です。
新車で金属表面が馴染んでいない状態で高負荷を掛けると、摺動面が発熱し金属が異常な膨張をしてしまう。
異常な状態で金属同士の馴染みが出来てしまう。
そうすると当然パワーも出ないし、寿命も縮みます。
新車から1,000km程までは、あまりエンジンが高温にならないように低回転を維持し、正しい『馴染み』を付けるようにしたい。
具体的な慣らし運転の目安
もちろん、『1,000km』、『エンジンが高温にならない』は、経験則による目安です。
など、バイクメーカにより表現は変わります。
目安としては、
- 500kmまでは、MAX回転数の半分まで
- 1000kmまでは、MAX回転数の3/4まで
2.初期不要への備え

新車乗り出し時は、初期不要が起きやすい
控えめな運転をすることで、初期不良へ備える
上の絵は、『バスタブ曲線』と呼ばれているものです。
機械の故障率が時間経過とともにどのように変化するのかを表してます。
- 運用開始直後は、初期不良が起きやすい
- 初期不良が起きる時期を過ぎると、安定した稼働が続く
- 機械の寿命が近づくと、摩耗による故障が増えだして寿命を迎える
初期不良が起きやすい間は、控えめな運転(慣らし運転)をするという考え方。
経験的に、初期不良が起きやすい期間を1,000km目安にしているのです。
バイクも工業製品なので、その出来栄えには一定のバラツキがあります。
最近のバイクは電子部品も多く使っているので、半導体の初期不良もあります。
初期故障が少なく安定して走り続ける、いわゆる『当たりバイク』もあれば、『外れバイク』もあります。
振動でねじが緩んで部品が脱落したり、接合部の噛み合いが不十分で冷却水やオイルのお漏らしをしてしまうかもしれない。
そんな外れバイクであってもちゃんとメンテをすれば、当たりバイク同様に安定した状態に変えられるので心配は要らない。
ただ、走行中にねじが緩んでも大事故にならないように、控えめな運転(慣らし運転)をすればいいだけです。
新車バイクに慣らし運転は不要?必要?

ここまでの説明で、慣らし運転の意味は解ったかと思います。
『新車バイクの慣らし運転は必要』と思ったかもしれないけど、
そうでもない。
理由は2つ。
- 慣らし運転をしなかったことによるパワーダウンは体感出来ない
- 慣らし運転をしなかったことによる寿命の縮みは体感出来ない
1.慣らし運転をしなかったことによるパワーダウンは体感出来ない

パワーロスがあったとしても、体感出来ない
新車で買ってから、慣らし運転をした場合・しなかった場合でパワーにどれほどの差が付くのだろうか?
1%? 5%? 10%?
まさか10%も差が付くとは思えないですね。
ところであなたは、何%の差に気付けますか?
慣らし運転をしなかった弊害が摺動面の滑らかさの差にあり、それが発熱としてパワーロスにつながっているとしよう。
でも、あなたがサーキットでコンマ何秒を削るような走りをしていない限り、パワーロスを体感することは不可能です。
慣らし運転をしたバイクとしなかったバイク、同じバイク2台並べて乗り比べたとしても解るかどうか怪しい。
燃費の差として、体感できる?

パワーロスが体感出来ないとしても、
パワーロスが燃費の差としてなら体感できるかも?
パワーロスしているのだから、その分アクセルを余計開いているはずです。
だから、燃費の差としてなら体感できる?
しかし、実際には燃費の差としても体感するのは難しい。
新車から年数が経つにつれ、燃費が落ちてきたとしよう。それは慣らし運転をしなかった影響と言い切れない。
通常の経年変化かもしれないし、バイクに慣れて運転が荒くなっただけかもしれない。
単に、あなたの体重が増えただけかも。
2.慣らし運転をしなかったことによる寿命の縮みは体感出来ない

あなたは、そのバイクに何十万Kmも乗るつもりですか?
バイクの寿命は、あなたがバイクに飽きるまの年数で決まる
最近のバイクの機械的寿命は、10万Kmを軽く超えます。
もちろん、乗りっ放しで10万kmは持ちません。
- オイル・冷却水・ブレーキフルードの定期的な交換
- ゴム・樹脂パーツの定期的な交換
- サビ・紫外線からの保護
維持管理を適切に行えば、10万Kmは軽く超えます。
エンジンを割ってエンジン内部のメンテも視野に入れるのなら、20万・30万kmも見えてきます。
一方、慣らし運転をしなかったら、寿命はどれほど縮むのだろうか?
1%? 5%? 10%?
例えば寿命が10%縮むとして、10万kmが9万kmになったとします。
で、あなたは気付けるだろうか。
バイクの寿命は、あなたが決めている

新しいバイクに興味が移った時が、バイクの寿命です
あなたはこれまで、何台のバイクを乗り継いできましたか?
最初は250cc、次に大型免許を取ってリッターバイク。ロングツーリングにあこがれてアドベンチャーに乗り換えたり、外車も気になる。
結婚により、250ccや125ccにサイズダウンするパターンもよく聞く。
短い人なら、2年を経ずに乗り換えていると思います。
長い人でも5年程度ではないでしょうか。
バイクが機械的寿命を迎えたために乗り換えた、そんな経験がありますか?
慣らし運転をしなかったことにより、バイクの寿命を目の当たりにするなんて無いのです。
新しいバイクに興味が移って、今のバイクを下取りに出すのです。
慣らし運転をしなかったことによるバイクの機械的寿命の変化なんて、関係ない。
機械的寿命より、あなたの浮気により寿命を迎えるのです。
新車バイクに慣らし運転は不要! まとめ

理論的には、バイクは慣らし運転をした方がいい。
けれど、実際に慣らし運転の恩恵を受けることはありません。
パワーロスは体感出来ないし、寿命を目の当たりにするほど乗り続けない。
中古バイクなら尚のことです。
- 最初のオーナーが慣らし運転をしたか否かなんて、知る由もない
- 慣らし運転をしたからと言って、買取価格が高くなる訳もない
ここから先は、あなたの考え方次第。
せっかくの新車なのだから、慣らし運転をして大事に乗るのも良い。
人生は短い、慣らし運転している時間が勿体ない、と気にしないのもあり。
あなたはどっち?
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