脱炭素社会のため。
クルマのEV化は、遠からずやってきます。
バイクもEV化されるのは時間の問題。

EVバイクって、どうなの?
楽しいの?
そんな疑問を解消します。
デメリットばかりのEVバイク
実用化はまだまだ遠いし、何より楽しくない
大量のバッテリーを積めないEVバイクは、シティコミューターにしか成れません
バイク趣味は、エンジンとともに終わるのだろうか
EVバイクのメリット
- 走行中にCO2を出さない
- 車検が無い
- 助成金が貰える
- 低速トルクが太い
- エンストが無いので立ちごけし難い
EVバイクのデメリット
- 脱炭素効果は、ほぼ無い
- エンジンが無い
- 振動が無い
- 排気音がしない
- 減速の回生エネルギーはほぼ回収できない
- ATになる
- 高回転でのトルクが薄い
- 部品点数が少ない
- 充電に時間が掛かる
- 燃費(効率)はガソリンと変わらない
- 航続距離が短い
- 充電できる場所が少ない
こんな内容を知って、スッキリしよう。
EV化のデメリットに比べ、メリットはショボい。
趣味の対象となり得るEVバイクが出る気配はありません。
でも、あくまで『現時点での評価』。
ショルダーバックのようだった携帯電話も、アッと言う間に進化しました。
同じように、EVバイクもアッと言う間に進化するかも。
EVバイクのメリット 5選!

- 日産 リーフ、アリア
- Honda e
- マツダ MX-30 EV
自動車では、ステラ・BYDと戦うべく、国産のEVがもう走り始めてます。
盟主のトヨタも、EVに舵を切っている。
この流れにバイクが乗れるかは、微妙。
理由は、EVバイクのメリットに比べて、デメリットが多すぎるから。
例えば、クルマのように大量のバッテリーを積めないから、航続距離が伸びないためです。
バッテリーの大革新でもない限り、EVバイクはシティコミューターにしか成れない。
まずは、数少ないEVバイクのメリットを見てみよう。
メリットは5つ。
- 走行中にCO2を出さない
- 車検が無い
- 助成金が貰える
- 低速トルクが太い
- エンストが無いので立ちごけし難い
決定的なメリットが見当たらないのが痛い。
1.走行中にCO2を出さない

脱炭素のためにEV化するのだから、CO2が出ないのは当たり前ですね。
バッテリーでモータを回して走るので、何も燃やさない。
クリーンな乗り物になる。
ココだけ切り取ると、確かに地球にやさしい
- その電気は、火力発電所から来てるのでは?
- 寿命が来たバッテリーの処分はどうするの?
野暮なことは、言わないのがお約束。
2.車検が無い

モーター定格出力 | 道路交通法 (免許区分) |
道路運送車両法 (車両区分) |
最高速度 20km/h以下 | 不要 | 特定小型原動機付自転車 |
定格出力 0.3kW以下 | 原付1種 | 原付1種(50cc) |
定格出力 1kW以下 | 原付2種 | 原付2種(125cc) |
定格出力 20kW以下 | 普通二輪 | 軽二輪(250cc) |
定格出力 20kW以上 | 大型二輪 |
EVバイクには、車検が無い
どんなに高出力モータを積んでも250ccクラス
車やバイクに関する法律には2つあります。
- 道路交通法
⇒ e-Gov法令検索『道路交通法』
交通の安全を守る - 道路運送車両法
⇒ e-Gov法令検索『道路運送車両法』
車両の安全を守る
EVバイクも、これらの法に従って区分けされます。
EVバイクの免許制度は、整備済み
モータ出力に応じて原1~大型二輪まで区分され
それぞれ必要な免許が決められている
道路交通法では、EVバイクの免許証制度は整備ずみです。
例えば、
- 原付2種免許で乗れるEVバイクは、1kWまで
- 現在のPCX125のエンジン出力は、9.2kW

なんで
エンジンのPCXは9.2kWなのに
EVは1kWまでなの?
そんな疑問が沸くかもしれないけれど、エンジンの9.2kWは最高出力。
一方、EVの1kWは定格出力。
最高出力で走り続けるのはムリだけど、定格出力で走り続けるのは可能、の違い。
定速巡行中のエンジン出力がどれくらいか、調べてみよう!
EVバイクの車検制度は未整備
一方、道路運送車両法は、EVバイクの位置づけが整備出来てません。
250ccクラスが最大クラスになってます。
どんな大出力モータでも、250ccクラス。
だから、大型二輪免許が必要な20kW超なEVバイクも車検は不要です。
EVバイクになれば、

車検があるから大型はチョット・・・
なんてことは、無くなる。
まあ、その内車検ありに見直されると思うけどね。
だって、車検が無くなると整備工場の業界団体がうるさいし、重量税の税収も無くなっちゃうから。
既得権益を放棄するとは、思えませんね!
3.助成金が貰える

EVバイクの普及促進のため、
ガソリンバイクとの差額相当の補助金が貰える
例えば、同じバイクでEVが100万円、ガソリンエンジンが60万円としたら、差額の40万円が補助金としてもらえる。
だから、EVバイクもエンジンバイクも同じ値段で買えます。
バイク毎に細かく補助金の金額が決められてます。
もちろん、EVバイクの普及が進めば助成金は無くなる。
助成金目当てなら、早い方が良い。
ただ、今のところエンジンバイクの方が、ずっとハイスペックだから
同じお金を出して、ポンコツなEVバイクを買うことになるけどね。
4.低速トルクが太い

※ 株式会社 五十嵐電機製作所 データを引用し、説明を追記
EVバイクは、モータが回ってないときが最大トルク
低速トルクのかたまりです
エンジンは、2~3,000rpmほど回さないと、トルクが出てこない。
けれど、モータは低回転ほどトルクが太いのが特徴です。
逆に、回せば回すほどトルクが落ちて来る。
(※上のモータ出力特性図を参照)
だから、停止中からの最初の1歩が力強い。
ハイブリッドは、良いとこ取り
そう考えると、ハイブリッド車はエンジンとモータの良いとこ取りのシステムです。
- 低速・・・モータ
- 高速・・・エンジン
両方の美味しいところを使ってる。
よく考えられてますね。
5.エンストが無いので立ちごけし難い

モータにはエンストがありません
EVバイクは、エンジンのようにエンストしない。
さらに、低速トルクが太いので発進は楽々です。
だから、
- Uターン中に失速
- エンスト
- 立ちごけ
黄金のコンボが発動されることは無い。
EVバイクは楽しいのか?デメリット12選

EV化の目的は、地球温暖化対策です。

CO2の排出を減らして
地球温暖化を防ごう!
しかし、CO2と地球温暖化の関係は良く分かってません。

※日本物理学会誌 Vol.62 を引用
上の、『CO2濃度と海面水温の年変動グラフ』を見ると、海面水温が上昇した翌年にCO2濃度が上昇してます。
これがCO2と地球温暖化の相関を証明してるという人も居るけれど
温度上昇が先でCO2濃度上昇が後
原因と結果が逆にも見える
偉い人の間でも、CO2と地球温暖化の関係は議論が分かれてるのが実情です。
けど、利権を求めてEV化は突き進んでます。
こんなにデメリットがあるのに。
- 脱炭素効果は、ほぼ無い
- エンジンが無いバイクは、バイクか?
- 振動が無いバイクは、バイクか?
- 排気音がしないバイクは、バイクか?
- 減速の回生エネルギーはほぼ回収できない
- 変速の無いバイクは、バイクか?
- 高回転でのトルクが薄いので回しても楽しくない
- 部品点数が少ない
- 充電に時間が掛かる
- 燃費(効率)はガソリンと変わらない
- 航続距離が短い
- 充電できる場所が少ない
1.脱炭素効果は、ほぼ無い

※国土交通省 運輸部門における二酸化炭素排出量 を引用
二輪車のCO2排出量は、日本のCO2総排出量の0.1%以下です
誤差レベル
国土交通省によると、
- 日本のCO2総排出量 ・・・ 11億800万トン
- 二輪車のCO2排出量 ・・・ 72万トン
全体の0.1%以下でしかない。
二輪車がEV化しなくても、大勢に影響はありません。
二輪車(バイク)のEV化による脱炭素効果は、ほぼ無い。
2.エンジンが無いバイクは、バイクか

バイクはエンジンに乗る、乗り物です
エンジンの無いバイクは、バイクか?
エンジンがモータに置き換わったバイクは、バイクと呼べるのだろうか?
現在でも、3輪トライクやスクーターをバイクの仲間と認めない人が居ます。
バイクとは何ぞや?
迷路に入って行きそうなので、止めておこう。
3.振動が無いバイクは、バイクか
スターターを押すと、身震いして目を覚ますエンジンが愛おしい
静かなEVバイクは、寂しい
なめらかな4気筒バイクも良いけれど、単気筒・2気筒の振動もまたいい。
振動で手がしびれるのが、醍醐味!
長時間走って、たどり着いた休憩ポイント。
バイクを降りようとすると、ヒザはガクガク、手はビリビリ。
まともに歩けないし、缶コーヒーも持てない。
バイク乗りで良かったと感じる瞬間ですね!
4.排気音がしないバイクは、バイクか

過度なエンジン音は疲れるけど
全く無いと寂しい
仕事から帰ると、走って抱きついてきてた子供たち。
けれど、アッ!と言う間に大きくなって巣立っていく。
残ったのは、静まり返った家。
毎日、大騒ぎだったあの頃は、もう二度と手に入りません。
エンジンの振動が無い、静まり返ったEVバイクも似ている。
ウルサイのも、何だけどね。
5.減速の回生エネルギーはほぼ回収できない

EVのメリットと言えば、回生ブレーキによる運動エネルギーの回収
だけど、EVバイクのエネルギー回生は、期待できない
回生ブレーキで航続距離がのびるなんて思わない方がいい
プリウスでさえ、回生ブレーキによるエネルギー回収は10~20%と言われてます。
プリウスはFFなので、ブレーキで前輪荷重になりエネルギー回収しやすいけれど、
バイクは後輪駆動なので、ブレーキを掛けると後輪荷重が無くなりエネルギー回収し難い。
軽量なのも、不利な方向です。
それにバイクはバランスの乗り物です。
急激にエネルギー回生を行うと、挙動が変わりバランスを崩します。
緩やかに回収しようとすると、よほど長い下り坂しかエネルギー回収できない。
普通に信号で止まるような場面では、ほとん回生されない。
回収したエネルギーにより、航続距離が延びるなんてことにはなりそうもない。
6.変速の無いバイクは、バイクか

EVバイクは、AT免許で乗れます
バイク乗りは、マニュアルバイクしかバイクと認めたがらない
ATなEVバイクを受け入れるだろうか?
変速のないスクーターを、下に見てませんか?
パッと見はバイクだけど、ATなホンダのDCT(デュアル・クラッチ・トランスミッション)。
これも、下に見てませんか?
レブル250のEクラッチも下に見てる?
変速操作は必要だけど、クラッチ操作が無いEクラッチも女子供用のギミック?
AT免許も下に見てますよね。
EVバイクは、低回転トルクが厚いのでクラッチも変速も無い。
EVバイクは全て、AT二輪免許で乗れます。
ATなEVバイクも、下に見るのですか?
7.高回転でのトルクが薄い

- エンジンは、回せば回すほどパワーが出て来る
- モーターは、回せば車速が上がる
『メリット4.低速トルクが太い』で挙げたグラフを見直して欲しい。
- モーターは、回ってないときが最大トルク
- 回せば回すほど、トルクは低下する
パワー(出力)は、『トルク×回転数』なので、モータの出力はグラフの点線。
おわん型の出力特性になります。
モーターは、回すほどパワーが出る訳じゃない。
レブまで回しても、何の意味も無いのです。
コーナー手前でブリッピングして回転数を合わせる
そんな場面も無くなる
楽しいと思う?
8.部品点数が少ない
EV化により、部品点数は1/10になります
そして、部品の共用化が進む
外装は違えど中身はみな同じ、PCのようなバイクが出来上がる
- エアフィルターなどの吸気パーツ
- マフラーなどの排気パーツ
- ラジエーターなどの冷却パーツ
- クラッチなどの変速パーツ
- 何より複雑なエンジン
EVバイクになれば、全て不要です。
EV化により、部品点数は1/10になると言われてます。
バッテリー・モーター・コンピュータ。
基本的には、3つあればEVバイクが出来上がる。
車種毎に作り分ける必要も無いので、部品共用化が進み
外装だけ違うバイクが量産されます。
パソコンのように、メーカは違えど中身は同じという状態になりそう。
楽しそうですか?
9.充電に時間が掛かる

最新のEVバイク ハーレーのLiveWire
- 家庭電源でのフル充電 ・・・ 一晩
- 急速充電スタンドでのフル充電 ・・・ 1時間
- 最大航続距離は235km
急速充電の技術革新により、従来より充電時間が短くはなりました。
しかし、走行距離を伸ばそうとすると、バカでかいバッテリーを積むことになるので、充電時間は延びます。
急速充電でも、フル充電に1時間かかります。
- 200km走るたびに、1時間の充電休憩
- 200km走るまでに、EV充電ステーションが見つかるか
EVバイクの普及には、インフラのハードルも高い。
10.燃費(効率)はガソリンと変わらない

同じ距離を走るのに、EVの電気代はガソリン代の約半分
燃費が良いのがウリだけど、
今だけ
1万km走るのに必要な燃料費を計算してみます
PCX ELECTRICの場合
- バッテリー 50.4V/20.8Ah×2個
- 航続距離 41Km
50.4×20.8×2 = 2kWh
1kWの電気代は27円なので、41km走るのに54円かかる
1万km×54÷41 = 1万3千円
PCX125(ガソリン)の場合
- 燃費 55km/L
- ガソリン 150円/L
1万km×150÷55 = 2万7千円
EVは、ガソリン車の半分の燃料費しか、かからない

EVになると、燃料費半分か
安い!
これは、今だけです。
電気代には、ガソリン税が含まれてない

※税理士法人インテグリティ データを引用
- ガソリン代の約半分は、ガソリン税
- 電気代には、ガソリン税が掛かってない
EV車が増えれば、このままのはずが無い
EV車が増えてガソリン車が減れば、ガソリン税収入が減ります。
国が黙ってるはずがない。
電気代にガソリン税相当の税金が掛けられるのは、時間の問題です。
けれど、家庭で使う電気に課税する訳に行かないのが悩ましい。
- 走行距離に応じて税金
- モーターの出力に応じて税金
- 急速充電スタンドの電気代に税金
課税方法にはいろんな手段があり、現在どれにするか検討されてます。
いずれにしても、現在のガソリン税相当の課税が遠からず始まる。
電気に税金が掛かれば、EVとガソリンの燃料費に差は無くなります。
11.航続距離が短い

EVバイクの航続距離
- PCX ELECTRIC 41km (2kWhバッテリー)
- ハーレー LiveWire 235km (15.5kWhバッテリー)
LiveWire は15.5kWhという巨大バッテリーを積んで、235kmの航続距離をを実現してます。
200kmオーバーは、PCXの41kmに比べれば優秀だけど、十分じゃない。
- 経年変化で航続距離は短くなるはず
- 寒い日には、航続距離は短くなるはず
ハーレーでこれだから、一般のEVバイクが1充電で100km走れる日は、まず来ない。
ツーリング先でのEVバイクの充電環境も考えると、EVバイクで街から出るのは現実的じゃない。
バッテリーの革新待ち。
12.充電できる場所が少ない
急速充電スタンドを日本中に作れるのか?
日本に何ヵ所あるかをみて見ると
- 急速充電スタンド 約8千件
チャデモ協議会データを引用 - ガソリンスタンド 約3万件
経済産業省 資源エネルギー庁データを引用
急速充電スタンドは、まだまだ足りない。
そして、誰かが充電してたら1時間待たないといけない。
地方にツーリングに行くと、不安しかありません。
ガソリンスタンドが減り続けてる理由は、クルマの低燃費化と経営者の高齢化です。
儲からない商売で、EV設備に投資するはずもない、子供が継ぐはずもない。
ガソリンスタンドが増加に変わる日なんて、絶対にに来ません。
EVバイクは楽しいのか?メリット・デメリット17選 まとめ

ホンダのスローガン
「The Power of Dreams」
人々と共に夢を求め、夢を実現していく
ホンダ グローバル・ブランド・基本ルール制定について
EVバイクは夢を実現してくれるのだろうか?
- モーターの小型高出力化
- 電池の小型軽量化
- 急速充電スポットの拡充
近未来にこれらのデメリットが解決されると信じたい。
EVバイクは楽しいのか?
現状は、デメリットが多くて微妙だけど、
バイク乗りの心を揺さぶるEVバイクが出てくる日がきっと来る!
そう信じたい。
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